血圧が気になる方にとって、日々の食事管理はとても大切です。しかし、食べるものをむやみに「薄味にする」だけでは、長続きしません。
無理なく取り組める、摂取する「塩分を減らす(減塩)」コツと、積極的に体内から「塩分を追い出す(排塩)」工夫について、わかりやすくご紹介します。
知っておきたい「食塩摂取量」の目安
最新の基準では、健康を守るための塩分摂取量は、おそらく想像するよりも少なめとなっています。
- 1日の食塩摂取目標量
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」:男性7.5g未満、女性6.5g未満
- 日本高血圧学会:6g未満の減塩(高血圧の予防や治療、循環器病、腎不全の危険性を下げるため)
- WHO(世界保健機関):成人5g未満
現在の日本人の平均摂取量は、男性が約10.7g、女性が約9.1g。どの基準からも大幅に上回っています。まずは「今よりマイナス2g」を目指すことから始めてみましょう。
賢く「減塩」する7つの具体策
「減塩調味料」は便利ではありますが、味が物足りなくなって使いすぎてしまっては本末転倒です。以下の7つの工夫を組み合わせ、調味料、麺類のスープ、加工食品などに含まれる塩分を「減らして」みましょう。
麺類のスープは「半分」残す
ラーメンやうどんなど麺類のどんぶり1杯には、麺、具材、スープを合わせて約5g〜8gと、1日分の目標量に近い塩分が含まれています。スープを半分残すことで、塩分を約2〜3gカットできます。
汁物は「1日1回」&「具だくさん」
味噌汁やスープなどの汁物は、汁を飲む量を減らすため、野菜や豆腐などの具をたっぷり入れましょう。野菜の摂取量も増やすことができて一挙両得。味の染みた具を楽しみ、汁は控えめにするのがコツです。
「かける」より「つける」
醤油やソース、ドレッシングは、料理の上からかけるのではなく、小皿に出して、つけて食べましょう。かける場合に比べて、塩分を約3割カットできます。料理の端に少しだけ調味料をつけ、舌に直接その調味料が当たるように食べると、塩分が少量でも満足感を得やすくなります。
酸味・香辛料・薬味をフル活用
レモンや酢などの「酸味」、こしょうや唐辛子などの香辛料の刺激、大葉やみょうが、ハーブなど薬味の「香味」を効かせると、塩分が少なくても美味しく食べられます。
炒め物にかかった「餡(あん)」は残す
炒め物などにかかっている、とろみがある餡には、塩分と脂質が凝縮されています。レンゲやスプーンですくって食べるのではなく、箸で食べることで、お皿に残った餡を無駄に摂取せずに済みます。
加工食品は「湯通し」で塩抜き
ハム、ウインナーなどの加工肉や、さつま揚げ、ちくわなどの練り物には、意外と塩分が多く含まれます。選ぶ際には成分表示の「食塩相当量」を確認し、サッと湯通ししたりゆでて下処理をしたりすると、表面の塩分を落とせます。
漬物やつくだ煮は控えめに
漬物やつくだ煮には塩分が凝縮されているので、1口分でも塩分量が多くなってしまいます。食べるのは1日に1食だけにする工夫をしたり、外食で付いてきても無理に食べるのは控えたりと、摂取する回数を減らしましょう。
カリウムの力で「塩分を追い出す」
体内では、塩分(ナトリウム)とカリウムが常に血液量のバランスを取っています。カリウムを多く含む野菜、きのこ、海藻、果物を積極的に摂りましょう。
- 野菜やきのこ、海藻の目安
- 1日350g(生なら両方の手のひらに3杯分、加熱なら片方の手のひらに3杯分)
- 果物の目安
- 1日200g(こぶし2つ分)
- バナナなら大きめ1本~小さめ2本、キウイなら2個、みかんなら2個、りんごなら大きめ1/2個〜小さめ1個
- ※糖尿病で血糖コントロールが必要な方は、1日100g(こぶし1個分)を目安にしてください。
- ※腎機能の数値(eGFRなど)を指摘されている方は、カリウム制限が必要な場合があるため、必ず主治医に相談してください。
- バナナなら大きめ1本~小さめ2本、キウイなら2個、みかんなら2個、りんごなら大きめ1/2個〜小さめ1個
- 1日200g(こぶし2つ分)
簡単に野菜、きのこ、海藻を増やすおすすめの方法は以下の通りです。
- コンビニ
- サラダやきんぴらごぼうなど「野菜のお惣菜」を1品プラス
- 外食
- メインのおかずは野菜が組み合わさっているものをチョイス
- 定食には野菜の小鉢を追加
- 丼物や麺類にはオクラやわかめ、茹で野菜などのトッピングを追加
- 自宅
- カット野菜を活用
- インスタントスープに乾燥わかめや冷凍野菜を入れる
- 減塩キムチやミニトマト、茹でたブロッコリーを冷蔵庫にストック
忙しい時には、トマトジュースや青汁を活用するのもおすすめです。塩分や糖分の摂りすぎになると逆効果なので、「食塩無添加」「砂糖不使用」などの表示を確認しましょう。
- 食塩無添加のトマトジュース
- カリウム:塩分の排出を促す
- リコピン:血管のしなやかさを保つ
- GABA:交感神経を抑え、血管をリラックスさせる
- 糖分控えめの青汁
- カリウム:塩分の排出を促す
- マグネシウム:血管を広げるのを助ける
お酒との「程よい距離感」を
アルコールは一時的に血管を広げますが、長期的には血圧を上昇させてしまいます。
アルコールの許容量は、エタノール換算で男性20~30g/日、女性10~20g/日以下とされています。
- 適量の目安(1日あたり)
- ビール:中瓶1本(500ml)
- 日本酒:1合(180ml)
- 焼酎:グラス半分(100ml)
- ウイスキー:ダブル1杯(60ml)
休肝日を設け、週に2日はお酒を抜くことで、血圧のベースラインを下げる効果が期待できます。また、ノンアルコール飲料を活用したり、お酒を薄めに作ったりして、長くお酒を楽しめる習慣を身につけることが大切です。
無理なく続ける「自分らしい」血圧習慣
血圧対策の基本は、短期間の制限よりも、長く続けるための工夫が大事です。体内に取り入れる塩分を減らし、入った塩分を出すというアプローチをセットで行うために、まずは「お刺身には醤油を少量つける」「お惣菜にサラダを1つ足す」といった、今の生活の延長線上でできることから選んでみましょう。